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2005.03.01

Written "world"

松浦さんの新曲「ずっと好きでいいですか」をハロモニで拝見しました。その表情を眺めていてふと思い出したのが、泉鏡花の「外科室」でした。ちなみに(青空文庫でも読めます:HTML版はこちら)

数年前、すれ違った一瞬にうまれた想いを、ずっと心に大事にしまいつづける貴船伯爵夫人。その秘密をもらすまい、と、彼女は手術に当たって麻酔の使用をかたくなに拒否します。執刀に当たるは、その想い人であった高峰医師。彼らの想いは、ほんの数葉にのみ交差します。

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「痛みますか」
「いいえ、あなただから、あなただから…でも、あなたは、あなたは、わたくしを知りますまい」
「忘れません」
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この歌では、小説とは真逆に見える直截さで決心を述べていますが。「心に秘め(続け)る」恋、という意味で、世界の重なりを感じた次第です。

小説でも芝居でも舞台でもライブでも、虚実皮膜の世界に浸らせてくれる力のあるものに、私は非常に心惹かれます。鏡花の魅力は(非常に浅い物見は重々承知の上で)その絢爛豪奢な言葉で創る別世界にしばし遊ばせてもらえることだ、と感じています。そして松浦さんについても、歌を通して「松浦亜弥」というひとつの世界を提示してくれる(アイドル、とも歌うたい、ともまた違う、「松浦亜弥」としか呼べない世界)力に、しばし見惚れていました。

ちなみにタイトルは書き割りの意ではなく(^^;「外科室」を映画化した板東玉三郎丈を追ったドキュメンタリー「書かれた顔」の原題「The Written Face」からいただきました。「ない」世界を「ある」ものに浮かび上がらせる力、という意味で。松浦嬢と玉三郎丈と鏡花、が、一つの線につながったように感じられて、この言葉を使わせていただきました。

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Comments

奥ゆかしい女性の心。
胸の詰まるような切なさ。
外科室、偶然つい先日読んだところです。


Posted by: canopi | 2005.03.02 at 23:43

>きゃのぴさん
コメントありがとうございます。
「その一瞬」に凝縮された思いと、それを彩る
豪奢なことば。口語体に慣れた身にはちょいと
手ごわい文章ではあるのですが、それでも一度
知ってしまうと抜け出せないのが鏡花の魅力
かな、なんて思っております。

もしよろしければ(大き目のレンタルビデオ屋
ならあると思います)「書かれた顔」もぜひに。

Posted by: セレステ | 2005.03.03 at 16:49

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