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2005.04.13

忘れられなかった者の、勝ちだよ

これは昨年別の場所で(私の運営する掲示板で)書いた文章に手を加えたものです。もしどこかでご覧になられた方がいらっしゃいましたら、二度読みとなること、お許し下さい。

ネット上の日記から作品へとの存じ上げ方のためでしょうか。こちらのみが全く一方通行的に存じ上げているだけの方でしたが。限りなく肉声に近い(と思わせてくれる)ことばの巧みな積み重ねに、ずっと親しみを抱いておりました。その方と、永遠に言葉を交わす機会がなくなってから、4月11日で丸一年の月日が経ちました。

私事になりますが。一昨年の似た時期に、母方の祖母を亡くしました。自分で言うのもなんですが、孫の中では一番の「おばあちゃん子」だったのに。最後の10年はほとんど顔も見せず、最期と知らされた時にはもう言葉を交わすことは出来ませんでした。ぎりぎり、「わたしだ」ということは分かってもらえた、と思うのですが。その時の後悔と、別離に対しての悲しみは、未だに色濃くあります。最後の10年を関わっていないから、ただ泣くことが出来るのかもしれないのですが(そもそも「泣く資格があるのか」との自責の念もまたあります)。ワガママと言われようと勝手と言われようと、どうしようもなく「辛い」のが、私の現実です。

時薬のおかげで、ただ泣きくれて過ごすことはなくなりつつあります。ただ、それでも。手のうちに残ったぬくもりとか、ずっと身体の底にある声とか。それらがもう「2度とない」痛みを知ってしまってからは、より強く、そのことが胸を打ちます。

タイトルの言葉は、短編集『愛してる』所収の「Two of Us」の一節からいただきました。好きな歌のタイトルを冠した小説だったと、知ったのは随分後になってからでした。以下、その箇所を引用させていただきます。
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 口をついて外に出て来ることばなんて、実際に考えたり思ったりしていることの何万分の一にしか過ぎない。頭の中にあることを面積にたとえれば、ことばになって出て来るものは小さな小さな点だ。
 それを思えば、人の言っていることなんて実は全然信用に値することではなくて、みんな「状況だけ見てキレイごとを言っている」のだとも言える。
 思ったり感じたりした者の勝ちだ。
 だから、「忘れられなかった」者の勝ちだ。

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鷺沢萠さん。あなたのことは。そして、あなたが残された大事な「ことば」と「ものがたり」のことは。決して忘れません。

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